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【決算レポート】倉庫各社の163 期決算の注目点 ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 16d0153 3

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16- D- 0153 201 6 年 6 月 1 日

倉庫各社の 16/ 3 期決算の

注目点

倉庫各社(三菱倉庫、三井倉庫ホールディングス(三井倉庫 HD)、住友倉庫、澁澤倉庫、東陽倉庫、中 央 倉 庫 、 安 田 倉 庫 の 7 社 ) の 16/ 3 期 決 算 お よ び 17/ 3 期 業 績 予 想 を 踏 ま え 、 株 式 会 社 日 本 格 付 研 究 所 (J C R)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。

1. 業界動向

倉庫各社の主力となる物流事業の環境は厳しい状況が継続している。日通総合研究所の企業物流短期動向 調査をみると、荷動き指数(「増加」の割合から「減少」の割合を引いたもの)は 14 年 7∼9 月以降、7 四半 期連続でマイナスとなった。中国など新興国の景気減速を背景に輸出入が伸び悩んでいることが影響してい る。16 年 4∼6 月もマイナス予想で、荷動きが好転する兆しはみられない。なお、16 年度では、国内貨物輸 送量や国際航空貨物輸送量は前年度と比較し、弱含む見通しである。景気の先行きに不透明感が台頭してい ることも踏まえると、事業環境の先行きについては注意が必要である。

不動産事業の環境については三鬼商事が公表している「最新オフィスビル市況」によると改善傾向にある。 東京ビジネス地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィス平均空室率は 16年 3 月末時点 で 4. 34%(前年同月実績 5.30%)、平均賃料は 17, 973 円/坪(前年同月実績 17, 195 円/坪)となった。ただ、 倉庫各社の賃貸物件は倉庫跡地を再開発して建設されたものが主体で、オフィスや商業地域の一等地から外 れた地域にある物件も多い。東京の一等地のような市況改善の恩恵を十分享受できる状況にはなく、本格的 な賃料水準の回復には至っていない。

2. 決算動向

倉庫7 社の16/ 3 期営業利益(単純合算)は 323 億円(前期比5%減)と4 期連続の減益となった。個社 別でみると、三菱倉庫、東陽倉庫及び安田倉庫は 15/ 3 期並みの水準を維持した。また、住友倉庫、澁澤倉 庫及び中央倉庫は増益を確保した。一方、三井倉庫 HD は大幅な減益となった。物流事業の環境が厳しい中、 収益構造や事業展開の違いが業績の明暗を分けた格好となっている。

利益の伸び率が業界内で最も大きかった住友倉庫は文書等情報記録媒体などの保管残高を増やしている上、 海運事業が好調であった。澁澤倉庫は近年立ち上げた厚木、横浜及び大阪茨木倉庫が飲料や日用品の保管品 を増やし、中央倉庫は荷主の人手不足問題に対する理解が浸透しつつある中、運送業で収受料金の見直しに 進捗がみられた。中でも、住友倉庫や澁澤倉庫では、ここ数年注力してきた物流事業強化の成果が収益増加 につながっていると考えられる。

他方、三井倉庫 HD は 16/ 3 期に Prime C argo 社や丸協運輸グループなど複数の物流企業を傘下に収め、増 収率では業界内でトップであった。しかし、北米スローワーク特需の終息に加え、倉庫立ち上げ費用やのれ ん償却費用の負担などにより、利益面では低迷した。物流事業が不振であった三菱倉庫は、利益の過半を占 める不動産事業が日本橋ダイヤビルディングの通期寄与やマンション販売物件の増加を背景に利益を伸ばす ことで、全体では底堅く推移した。

(2)

財務構成が悪化した。積極的な設備投資や M&A を背景に固定資産や有利子負債が増えており、自己資本比 率が 16/ 3 期末 21.6%と前期末 27. 8%から大幅に低下した。

17/ 3 期の営業利益(単純合算)は 362 億円(前期比 12%増)と増益へ転じる計画である。個社別でみると、 16/ 3 期並みの水準を予想している企業が多い。三井倉庫 HD については大幅な増益を予想しており、物流事 業 の 回 復 を 想 定 し て い る 。 Prime C argo 社 、 丸 協 運 輸 グ ル ー プ の 通 期 寄 与 や 新 倉 庫 の 稼 働 開 始 に 加 え 、 業 務・人員配置見直しを含むコスト削減で収益回復を計画している。物流の事業環境が引き続き厳しいと見込 まれる中、近年の投資成果を発揮し、収益力の改善につながるかフォローしていく。

3. 決算に

格付上の

注目点

J C R では、15年 11 月に住友倉庫の格付を「A +」から「A A - 」へ、16年 3月に澁澤倉庫の格付見通しを 「安定的」から「ポジティブ」へ変更した。一方で、15 年 9 月に三井倉庫 HD の格付見通しを「安定的」か ら「ネガティブ」へ変更した。倉庫業界全体として、格付の方向性は安定的であるものの、個社別でみると 事業施策の成否や財務リスクの負担度合いにより、違いが生じている。当面の注目点は以下の通りである。 顧客の物流コスト削減意識は高く、貨物保管そのものに対する単価は低下傾向にある。また、人件費、作 業委託費、建設費用などのコスト負担も上昇しており、収益力強化に向け、付加価値の高いサービスの提供 が必要となろう。倉庫各社は医薬品や文書など高度な保管技術が求められる貨物の取り扱いの拡大、流通加 工や配送業務を組み合わせた付帯サービスの強化、国内外で顧客ニーズに応じた立地での倉庫新増設など顧 客ニーズへの対応に注力しており、こうした取り組みを収益に結び付けていくことが重要となる。とりわけ、 澁澤倉庫については、物流事業強化の進捗状況を見極め、格付に反映していく方針である。

こうした環境下、決算発表と併せて中期経営計画を更新する企業が複数みられた。最大手の三菱倉庫は経 営計画「2016- 2018」を公表し、国内外一体のロジスティクス事業や賃貸を中心とする不動産事業の拡充を 図り、営業利益を 16/ 3 期 113 億円から 19/ 3 期 155 億円まで増加させることを目標としている。また、今後 3 年間で総額 600 億円の設備投資と 90 億円の分譲マンション事業への投資を計画している。次に安田倉庫は 「中期経営計画 2018」を公表。物流拠点の拡充や不動産の再開発などにより、営業利益を 16/ 3 期 20 億円か ら 19/ 3 期 30 億円まで増加させることを目標としている。また、17/ 3 期から 19/ 3 期に総額 240 億円に及ぶ 設備投資(前中期経営計画の 2 倍)を計画している。最後に中央倉庫では「F ORWA RD2018」を策定。多様 化する物流への適応などを基本方針とし、提案営業力や総合物流機能の強化を図る。営業利益を 16/ 3 期 15 億円から 19/ 3 期 17 億円まで増加させる見込みである。

不動産事業は安定収益源として各社の業績を下支えしているものの、再開発の余地は限られてきており、 全般的に国内外における物流事業の基盤強化が中期経営計画の中心的施策となっている。着実な利益増加に 向けた取り組みと J C R ではみており、今後の利益貢献状況をフォローしていく。

(3)

(図表 1)倉庫 7 社の財務指標の推移 (単位:億円、%、倍)

12/ 3 期 13/ 3 期 14/ 3 期 15/ 3 期 16/ 3 期

三菱倉庫 自己資本 2, 096 2, 258 2, 344 2, 605 2, 549

(9301) 有利子負債 541 588 729 770 709

自己資本比率 59. 3 60. 2 59. 2 60. 2 61. 7

有利子負債/ EBI TDA 1. 9 2. 2 2. 7 2. 8 2. 6

デットエクイティレシオ 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3 0. 3

三井倉庫 自己資本 501 547 626 682 616

(9302) 有利子負債 1, 206 1, 340 1, 115 1, 263 1, 607

自己資本比率 25. 4 23. 5 28. 4 27. 8 21. 6

有利子負債/ EBI TDA 8. 51 9. 41 7. 43 8. 21 10. 53

デットエクイティレシオ 2. 41 2. 45 1. 78 1. 85 2. 61

住友倉庫 自己資本 1, 141 1, 337 1, 470 1, 641 1, 618

(9303) 有利子負債 772 684 798 735 786

自己資本比率 46. 6 50. 7 50. 9 54. 2 53. 8

有利子負債/ EBI TDA 4. 44 3. 62 4. 28 3. 89 3. 78

デットエクイティレシオ 0. 68 0. 51 0. 54 0. 45 0. 49

澁澤倉庫 自己資本 319 334 351 386 386

(9304) 有利子負債 374 379 375 384 362

自己資本比率 37. 6 38. 4 38. 6 39. 5 42. 3

有利子負債/ EBI TDA 6. 65 6. 83 7. 11 6. 89 6. 35

デットエクイティレシオ 1. 17 1. 13 1. 07 0. 99 0. 94

東陽倉庫 自己資本 156 160 161 169 168

(9306) 有利子負債 115 146 139 129 135

自己資本比率 46. 5 43. 4 42. 3 44. 1 42. 4

有利子負債/ EBI TDA 5. 82 7. 87 6. 61 6. 13 6. 55

デットエクイティレシオ 0. 74 0. 91 0. 86 0. 77 0. 80

中央倉庫 自己資本 305 325 330 345 348

(9319) 有利子負債 42 37 40 37 46

自己資本比率 81. 8 81. 6 81. 7 81. 3 80. 1

有利子負債/ EBI TDA 1. 62 1. 42 1. 63 1. 39 1. 60

デットエクイティレシオ 0. 14 0. 11 0. 12 0. 11 0. 13

安田倉庫 自己資本 384 488 624 651 604

(9324) 有利子負債 247 249 256 233 251

自己資本比率 49. 2 52. 2 54. 5 56. 9 56. 0

有利子負債/ EBI TDA 4. 68 4. 88 5. 22 4. 62 5. 20

デットエクイティレシオ 0. 64 0. 51 0. 41 0. 36 0. 42

7 社合計 自己資本 4, 904 5, 452 5, 908 6, 482 6, 292

有利子負債 3, 300 3, 426 3, 455 3, 555 3, 901

自己資本比率 47. 6 48. 3 49. 6 50. 9 49. 1

有利子負債/ EBI TDA 4. 38 4. 58 4. 59 4. 61 4. 93

デットエクイティレシオ 0. 67 0. 63 0. 58 0. 55 0. 62

(4)

(図表 2)倉庫 7 社の連結業績の推移 (単位:億円)

連結 物流 不動産

営業収益 営業利益 営業収益 営業利益 営業収益 営業利益

三菱倉庫 15/ 3 期 2, 043 114 1, 704 72 359 91

16/ 3 期 2, 068 113 1, 690 55 398 106

17/ 3 期予 2, 150 121 1, 740 67 432 108

三井倉庫 15/ 3 期 1, 704 61 1, 605 35 104 58

16/ 3 期 2, 129 32 2, 038 21 96 49

17/ 3 期予 2, 400 60 2, 310 50 95 47

住友倉庫 15/ 3 期 1, 747 93 1, 666 97 89 36

16/ 3 期 1, 722 107 1, 631 107 100 45

17/ 3 期予 1, 730 108 1, 636 110 101 45

澁澤倉庫 15/ 3 期 550 26 494 15 57 27

16/ 3 期 567 27 510 16 57 26

17/ 3 期予 587 31 531 56

東陽倉庫 15/ 3 期 231 7 227 12 3 0

16/ 3 期 248 7 244 12 3 1

17/ 3 期予 250 6

中央倉庫 15/ 3 期 235 13 235 13

16/ 3 期 238 15 238 15

17/ 3 期予 245 15 245 15

安田倉庫 15/ 3 期 384 22 328 21 60 18

16/ 3 期 387 19 339 20 52 16

17/ 3 期予 403 20

7 社合計 15/ 3 期 6, 897 340 6, 262 267 676 232

16/ 3 期 7, 362 323 6, 694 249 708 245

17/ 3 期予 7, 765 362

(出所:各社決算資料より J C R 作成) ※ 住友倉庫の物流事業には海運事業を含む

【参考】

発行体:三菱倉庫株式会社

長期発行体格付:A A 見通し:安定的

発行体:三井倉庫ホールディングス株式会社

長期発行体格付:A 見通し:ネガティブ

発行体:株式会社住友倉庫

長期発行体格付:A A - 見通し:安定的

発行体:澁澤倉庫株式会社

長期発行体格付:BBB+ 見通し:ポジティブ

発行体:東陽倉庫株式会社

長期発行体格付:BBB 見通し:安定的

発行体:株式会社中央倉庫

(5)

■NR S R O 登録状況

J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。

■ 本件に関するお問い合わせ先

参照

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